第68代理事長所信表明 – 一般社団法人 多治見青年会議所 2022年度

多治見JC

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理事長所信

第68代理事長所信表明

2022年度 一般社団法人多治見青年会議所 
理事長基本方針

はじめに

 情報が氾濫する現代社会では、知らず知らずのうちに中庸性をもって自分の頭で考える力が減退する傾向にあります。さらに、集団で人を裁くような発言が多い世の中において、人々は批判されることを恐れ自分で行動することを躊躇し、それでいて自己の権利には敏感に反応する姿が目立ちます。果たしてこのような他人任せで権利主張の激しい社会は、子ども達に残したい社会と言えるでしょうか。
社会に対する圧倒的な当事者意識のもとに始まった青年会議所は、いつの時代も、「明るい豊かな社会の実現」を目指し、社会に存在する課題を見極めその解決に向けて取り組むこと、そしてそのような人財を育成していくことを使命として運動を続けてきました。地域とともに生きる青年経済人として、まちづくり、ひとづくりに向き合い続けてきた私たちだからこそ、地域社会に対する責務があります。「自分や自分の大切な人達が生きる社会は自分たちでつくる」。今こそ私たちは、その自覚と責任をもって地域に存在しようではありませんか。そして、私たちのその姿勢が波紋となり、皆が自分で考え自分で動く、自分の生きる環境に対して目的意識と主体性に満ちた、活力に満ち溢れたまちへとつながっていくのです。
愚直な行動と旺盛なエネルギーで、この現代社会にあっても意気溢れる人財が関わり合いをもちながら、輝く個性が協和する未来を描いてまいりましょう。

決断力と実行力に優れたリーダー

「行蔵(こうぞう)は我に存す、毀誉(きよ)は他人の主張、我に与(あず)からず。」江戸城無血開城で知られる勝海舟のこの言葉からは、何かを成し遂げようとする者が、雑音に耳を貸さず、自己の立場や行いを変えることを厭わず、大義に向かって突き進む様がよ く表れています。
歴史を紐解くと、この国には英傑と呼ばれるような時代を切り拓くリーダーが存在しました。彼らは、成すべきことを明確に定めていたので、思い切った決断をすることができ、発生する様々な現象に振り回されることなく目的に向かって突き進むことができました。また、彼らが決断したことはいかなる苦境においても揺るぎない信念のもと実行されることであり、その根本には大義が明確に据え続けられていました。だからこそ人々は進んで彼らに力を貸し、目的意識を共有し主体的に行動することにつながり、結果として時代を変えるまでに至ったのです。
一方、世間の反応によって行動を選択しているように感じられる一貫性のない日和見主義のリーダーのもとには、人は集いません。そのような組織の中では、人々は大義のために自分の能力を使う意欲が削がれ、自分を守ることだけに力を注ぎ、ひいては利己主義の蔓延 を招きます。今こそ私たちがなるべきリーダーは、人々と目的意識を共有し人々の主体性を生み出す、決断力と実行力に優れたリーダーです。
まずは迷ったときに立ち返れる、成すべきことやあるべき姿を明確に抱くことが必要で す。そして、実行の中で発生する困難や状況の変化、人々の批判などといった様々な事象に反応的にならず問題の本質を捉え、常に大きな目的だけを見つめ続けるのです。さらに、できない理由を考えるのではなく、できる方法を考え、なんとしてもやり遂げる執念をもつこ とです。
決断力と実行力が優れたリーダーの元には、人々の力が集まり、組織の力が最大化されます。そのようなリーダーをこのまちに輩出し、まちを明るく照らしてまいります。

様々な選択肢を作り出せる子ども

私たちが子どものころ、人々が求める幸せのカタチや生き方の正解は、ある程度決まっていました。しかし時は移り、人々の価値観は多様化し、「ウサギとカメの寓話では、遅くとも休むことなく歩き続けたカメが正解」、「アリとキリギリスの寓話では、遊ばずに働くアリが正解」に収斂(しゅうれん)しない時代となり、「ウサギはレースに勝つことが目的ではない」「キリギリスの幸せは長生きではなく好きな歌を歌うこと」と、これまでと異なる価値観が当たり前に存在するようになるのです。これからは、多様な選択肢を作り出せる人財が求められることでしょう。
ところが、これからを生きていくはずの子ども達はどうでしょうか。インターネットやゲームに触れている時間が長く、自身でじっくり考える時間が減っているように感じます。また、すぐに情報に触れられる生活に慣れているがゆえに、外部からの情報をそのまま自分の意見としてしまう姿勢、物事を「正・誤」の二極化で捉えがちになり誤りを恐れて自分の言葉を紡げない姿勢に危惧を抱かずにはいられません。
今の子ども達に必要なのは、多様な選択肢を作り出す力です。情報を集めてくる過程で、情報を吟味する習慣をつけなくてはなりません。また、外部からの情報だけでなく知識や経験、感情や考えをかけあわせて自分自身の意見を練り上げるのです。さらに、多様な価値観の人々と共生することとなる彼らは、表面的な協調性ではなく、他者と異なる意見をも正し く表現する姿勢をもたねばなりません。
成熟社会においては、多様な選択肢を作り出せることが生き方を豊かにします。これからの社会において多様な他者とともに社会をつくりあげていく人財を育てることによって、このまちを豊かな社会へとつなげてまいります。

むすびに

戦後の貧しい時代も現在も、青年会議所は「明るい豊かな社会の実現」という大海に向かって流れを進める、変わることのない川です。見えない多くの人の覚悟と努力のうえに、今こうしてこの川が存在しているのです。今流れている水は、過去から流れてきたものです。今の表面的な事象だけを見るのではなく、過去からの根幹を見つめることが必要です。組織改革が謳われて久しいですが、目的を見失って、変化することを目的としてしまえば、それはもはや青年会議所ではないのです。私たちのすべきことは、流れる場所の地形の変化に応じて堤を調整しながら川の流れを守っていくことです。組織の皆が規律と伝統を重んじ、各々が普段から自己の責務を意識しそれを全うする組織へと昇華させ、過去からの知見を引き継ぎ、この川の流れを守り次代へとつないでまいります。
今身の回りに起きていることの責任を他所におき、批判するのも、評論するのも、簡単で気持ちの良いことかもしれません。しかし、その背中は子ども達に誇れる格好いい背中でしょうか。今は、過去の行動でできています。未来は、今の行動でつくられます。今、ここに生きる青年として、自分や大切な人そして地域のために、自覚と責任をもって邁進してまいります。

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