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63代 理事長所信表明
2017年度 一般社団法人多治見青年会議所 理事長基本方針
63代理事長 恩田 豊寛
はじめに
戦後間もなく、祖国日本の復興を目指し青年会議所が産声を上げ、本年で68年目を迎 えます。これまで先輩諸兄は創始の想いを受け継ぎながら、「明るい豊かな社会の実現」を 目指し、運動を展開されてきました。そんな伝統ある青年会議所の根幹に在るものは何な のか。それは愛する祖国の発展、自分自身が住み暮らすまちの発展、そして次代に明るい 豊かな社会を繋いで行くという使命感ではないでしょうか。 その伝統を受け継ぐ我々は今、青年会議所メンバーである事に情熱を持ち、愛するこの まちの為に、行動していると胸を張って言えるでしょうか。将来に不安を抱きながらも、 現状の豊かさに甘えてしまい、情熱を持って行動する事に躊躇してしまっている様に感じ ます。 我々が次代に向けて確かな一歩を踏み出すには、「明るい豊かな社会」とはどんな社会な のかを明確に想い描かけなければなりません。このまちの、そして自分自身の目指すべき 姿が無ければ、より良い社会を創造する事など出来ないのです。 明るい豊かな社会とは、「自立」と「共助」が調和する、そんなまちの姿です。「自立」と は経済的にはもちろん、社会を構成する一員であるという自覚を高め、自助努力を続ける 姿であり、「共助」とは国や地域、そして他者に生かされている事に感謝し、共に助け合い、共に励まし合いながら相互扶助の精神を持つ事です。まず我々メンバーが先頭に立ち、「自 立」と「共助」の精神を大切にする地域を創り上げていく。そんなひとづくり、まちづくり が実現すれば、後世に明るい豊かな社会を繋いでいく事が出来るはずです。今こそ青年会 議所メンバーとして情熱を滾らせ、共に活動して参りましょう。
自立した青年経済人として
私たちの国日本は、先人達のたゆまぬ努力の結果、戦後著しい速度で復興を果たし、 世界でも屈指の経済大国へと発展致しました。そして現在では、企業は常に進化し続けな ければ、経済変化の渦に飲み込まれ、生き残って行く事が出来ない時代となりました。し かしその競争の中で、いつしか利己主義が社会にはびこり、経済をリードする上場企業で さえ、偽装や改ざんを行う等の耳を疑う報道が後を絶ちません。今まで以上に企業の社会 的責任が問われる今日に於いて、我々は青年会議所メンバーである前に、社会を構成する 青年経済人として、仕事を通じて社会に貢献して行く必要があるのではないでしょうか。 経済とは元来「世を治め、民を救う」という「経世済民」に由来する言葉であり、「世のた め、人のため」という理念から成り立っています。その理念に基づき、日本人は古来より 「三方善」という、他国には無い素晴らしい精神性の商慣行がありました。その精神は、利 益のみを追求する行為とはかけ離れたものであり、他を慮る事を最も大切にする価値観で あったはずです。こんな時代だからこそ、忘れ去られてしまった美しい精神性を取り戻す 必要があるのです。確固たる道徳心を持ち、常に企業や組織を変革し続けていくという気 概と資質を兼ね備えた青年経済人を目指して行かなければなりません。 我々は日本人古来の精神性を学び、これまでの慣習に捉われる事無く、新しい事に取り 組む進取力を高め、社会貢献を前提とした経済視野を養う事で共助の精神を持ち、地域に 根付き地域と共に発展する青年経済人を育成する事が、JAYCEEとしての責務だと考 えます。 我々が市民意識変革運動の推進者としてふさわしい姿となり、力強い一歩を踏み出して 参りましょう。
共助愛溢れるまちの創造
昨年、イギリスが国民投票によってEUを脱退するという、衝撃的なニュースが世界を 駆け巡りました。この問題は、我が国日本に於いても決して他人事ではありません。昨年 の参院選の結果、憲法改正という国の将来を我々の判断に託される時代となった今、自分 自身が投じた一票が、国やまちの未来を決定していく事に真剣に向き合う必要があると考 えます。 政治や行政、そして生活の基盤である憲法に関心を寄せなければ、国やまちの未来を語 る事も、有権者としての責任を果たす事も出来ないのです。先ずは我々大人が、政治や行 政が自分たちの暮らしに密接に関係している事を再認識する事で有権者としての自覚を持 ち、また国やまちの将来が自分の投じた一票によって左右される事に自覚と責任を持たな ければなりません。その判断の下で権利を行使出来るよう、「政策リテラシー」を身に付け る必要があるのです。 そして次代を担う子ども達には、一人で生きているのではなく、支え合って生かされているという共助の精神を伝え、地域への愛着と周囲への感謝の心を育み、自分達の住むこ のまちを愛し、人に感謝する心豊かな大人へと導いて参ります。 自治意識の重要性を幅広く伝搬し、愛するまちの未来を真剣に想う人々を増やし、やさし さ溢れる子ども達を育む事の出来る、自立と共助が調和した力強い地域の創造を目指して 参ります。
結びに
青年会議所運動は、常に内外に前向きな意識変化を求め運動を展開して行かなければな りません。しかし、戦後復興を目指したまちの姿と物質的に豊かになった現在の姿とでは、 想い描く「明るい豊かな社会」は違うはずです。歴史が示す様に、環境変化に対応する事が 出来なければ、生物も組織も衰退の道を辿ります。過去を繰り返すのではなく、過去から 多くを学んだ我々だからこそ、時代に応じて常に進化し、魅力ある運動を展開して行かな ければなりません。そしてその私たちの姿を見て、一人でも多くの同志が集結し、志を同じく活動してくれる事に繋がると確信しています。より良い地域の創造を目指す団体として、今の時代に求められる運動発信に全力で取り組み、賛同と共感の輪を責任世代に広げ て参ります。 そして我々の所属する青年会議所には、自分自身を成長させる多くの機会が存在します。 しかし漠然と時を過ごしていれば、そんな貴重な体験に巡り合う事も出来ません。我々に は40歳という限られた時間しかないのです。今この瞬間を懸命に生き、自らが「明るい 豊かな社会」を明確に想い描き、愛するまちの為に情熱を滾らせ行動を起こす事が、人生 の大いなる財産となるはずです。今を生きる青年として高い志を持ち、希望溢れる未来の 為に、信じた道をメンバー一丸となり、決して歩みを止める事無く進んで参ります。