理事長所信 – 一般社団法人 多治見青年会議所 2024年度

多治見JC

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理事長所信

2024年度 一般社団法人多治見青年会議所
理事長基本方針

第70代理事長 三和義幸

はじめに

 近年テクノロジーの発達は人々の生活に利便性をもたらし、働き方や学校教育を始めとする生活環境に急激な変化をもたらしました。人口減少や少子高齢化により社会が衰退しつつある中で、人類はこれまで無かった技術や多様な情報、価値観を得ることで新たな可能性を見出し、社会をより良い方向に進めてきました。人々は求めれば自ら考えなくても膨大で多様な情報の中から、最適化された答えを得ることができ、どこでも自分の価値観に合う人を選びデジタルを通じてつながれるようになりました。
 この進化により、これまで経験や学びから得ていた情報や知識、様々な人が互いに心を配りながら作ってきたコミュニティのあり方が大きく変わりつつあります。この変化の中で人々がテクノロジーにただ依存してしまえば、人間としての意志や人とのつながりは希薄化し、社会は人を必要としない無機質なものになってしまうのではないでしょうか。
 今後どんなにテクノロジーが進化しても、変革の能動者である我々が自ら考え行動する勇気と、他者を認め想いやる優しさをもち続ければ、未来への可能性を創り続けることができます。この無限に広がる可能性こそが希望となり、社会を創る原動力となっていくのです。
 未来は誰かが準備してくれるものではなく、自らの手で切り開いていかなければいけません。今こそ、己が信じる道を確固たる信念をもって突き進み、多様な可能性の輪を広げてまいりましょう。

信念を貫くリーダー

 産業の構造改革やAIの発達により、急激に社会は変化しています。シンギュラリティ到来も予測され、すでにAIは情報収集、分析において人間より優れ、個別に最適化された情報や知りたい答えをすぐに提供してくれます。しかし近年、この自分に都合がよく、心地いい情報や与えられる答えだけを鵜呑みにし、本来人間がもつべき思考と言動への責任を放棄してしまう人が増えているように感じます。このままでは、人々が自分の在り方を考えることなく、自分さえ良ければいい、今さえ楽しければいいという人がこのまちに蔓延し、社会が混乱してしまうのではないでしょうか。
 今こそ、我々JAYCEEが、思考と責任によって自分が成るべき姿を見つけ、進むべき道標としての揺るぎない信念をもたなければいけません。そして自分に都合のいいものに流されるのではなく、信念を貫くために必要な行動を選択し、皆の規範として、行動で語らなければなりません。その自信と勇気に満ちた姿が信頼をつくり、人々を惹きつけ導くことができるのです。
 我々とともに歩む人々を増やし、希望に溢れた社会を創り出すため、まず我々が先頭にたち信念を貫くリーダーとして道を切り開いてまいります。

皆が手を取り合える社会を目指して

 「障がいがあるからできない」そんな決めつけの声をよく聞きます。重複障がいをもつ子の親である私自身も、障がいという言葉で娘の可能性を諦めていた時期がありました。しかし、愛ある皆様との多様な交流に恵まれ、歩けず話せなかった娘が、今では自分の意思で好きなところへ行き、自分の想いを私に伝えてくれるまでに成長しました。
 自身の経験から現代社会を見ると、情報技術の進歩と価値観の多様化により、国籍や障がいといった様々な少数派のコミュニティ形成が容易となり、個々に寄り沿う生きやすい社会を構築しています。しかし、人々は同質性の安心感から交流を細分化されたコミュニティだけで完結させ、違いや否定への恐れから、外との交流を避けるようになりました。そして、コミュニティ外とのつながりは希薄化し、互いを認知することなく、あるいは言葉のイメージから思い込みという壁を作ってしまいます。
 無関心や偏見が当たり前となり、互いを知らず認め合わない社会では、限られた人のみに都合のいい解決策や誤った判断を生み、皆が幸せなまちを作り出すことはできません。娘のように可能性に満ちた子どもたちがこの壁に阻まれていては、新たな視点やアイディア、人財の可能性が失われ、進歩なきまちが出来上がってしまいます。だからこそ、自らの体験を通じて多様性を感じることで、大人は子どもの可能性に気づき、子どもは違いを異彩とする必要があるのです。それが相互理解と自信を生み、今まで交わらない要素を結びつかせ新たな風を起こすと確信しています。皆で価値を創り出すインクルーシブなまちを目指し、互いに手を取り合ってまいります。

多治見青年会議所として

 多治見青年会議所は来年創立70周年を迎えます。我々がこのまちで大きく運動を展開できるのは、これまで先輩諸氏が築き、つないでくださった組織への信頼と実績があるからに他なりません。これまでの功績を礎に運動する我々は、今ある流れに漫然と身を任すのではなく、多治見青年会議所として時代を見据えた変化をしていくことで、社会に貢献し続ける組織でなければいけません。
 そのためには、70周年を目前にした今だからこそ、これまでの運動やそこに込められた情熱を知り、多治見青年会議所がつないできた想いを大切にし、我々が守り続けるべきこと、新たに取り入れるべきことを考えていく必要があります。そして、一人ひとりがJAYCEEとしての資質を高め、多治見青年会議所の一員としての自覚と誇りをもち、求められる役割を演じなければいけません。
 「明るい豊かな社会の実現」を目指す団体として、多治見青年会議所が先輩諸氏、関係諸団体、地域の皆さま、全世界で活躍する仲間たちから、より一層の信頼とご期待をいただけるよう、組織をアップデートしてまいります。

むすびに

 社会情勢や価値観、テクノロジーが加速度的に変化する時代であっても、青年会議所の本質は変わりません。様々な運動に挑戦する機会、支えてくれる家族や仲間への感謝、多様な考えをもつ人々とのめぐり逢い。自分の可能性を広げることができる場所。それが青年会議所なのです。
 40歳までという限られた時間の中で、互いに想いをぶつけ、認め合いながら、自己を成長させ、皆の幸せを目指し地域に貢献していく。そんな志高き青年たちの姿が、人々を惹きつけ、未来を創っていくのです。
 時代を超えて語り継がれるものには必ず信念があります。我々も己の内から湧き出す情熱という力と、他者を受け入れ大切にする愛という想いをもって邁進してまいりましょう。想いだけでも力だけでも皆を導き幸せな社会をつくることはできません。その2つをもった我々JAYCEEが先頭に立ち、必ず誰もが誰かと手をとりあい、優しく強い想いが連鎖する。そんな誰一人取り残さない、幸せ溢れる社会を目指し、明日への道を突き進んでまいります。