第69代理事長所信表明 – 一般社団法人 多治見青年会議所 2024年度

多治見JC

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理事長所信

第69代理事長所信表明

2023年度 一般社団法人多治見青年会議所
 理事長基本方針

第69代理事長 加賀 賀裕

はじめに

 現代では、これまで以上に価値観の多様化が進み、多くの人が正解だと信じてきた生き方のみに固執するのではなく、地域社会の中でお互いの価値観を許容し、尊重し合う時代を迎えています。しかし、自身の価値観は他者を差し置いても尊重されるべきという誤った考え方がこのまちにまん延してしまうことで、自分にとっての良し悪しで相手を判断し、価値観を他者に押し付け強要し、お互いの権利を主張し合うのみで社会全体の利益を考慮しない過激な利己主義が加速しているのではないでしょうか。そんな人びとがこのまちに溢れれば、人や地域のつながりが分断され、支え合いは無くなり、閉塞感の漂う社会となってしまうのです。
 先行きを見通すことが益々難しくなる状況で、我々は何をすべきなのでしょうか。青年会議所の発足した当時と今とでは環境は大きく異なり、求められる運動も変わってきています。しかし、「明るい豊かな社会の実現」という理念のもと、このまちの未来をより良くするために、誰よりも真剣に議論を交わし、志を同じくし、運動を展開し続けてきたその熱き思いは決して変わりません。人や地域が分断されつつある今だからこそ、その志を受け継ぐ我々が、青年会議所の運動の意義や目的を深く心に刻み、人びとをつなぎ合わせる継手となり、歩み続けなければなりません。
 このまちが抱える問題は多くの要素が複雑に絡み合い、簡単に解決できるものばかりではありません。しかし、その解決に向けて課題に怯むことなくひとつひとつ真摯に取り組んでいくのが我々青年です。そしてその思いは必ず人びとに、このまちに広がっていきます。今こそ志をひとつにし、このまちを誰もが活き活きと輝ける「住みよいまち」にすべくともに邁進してまいりましょう。

新たな時代を担うリーダーとして

 かつての大量生産、大量消費の時代には、圧倒的な行動力により組織を率いていくリーダーが必要とされ、そのリーダー達が組織をけん引したことが大きな原動力となり、このまちを発展させてきました。しかし、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさが優先される時代を迎え、さらに多様な価値観が今まで以上に尊重されるようになったことで、トップダウンの命令により、個を潰してでも強引に人や組織を動かしていくだけでは物事が立ち行かなくなりつつあるのではないでしょうか。社会の問題が簡単に解決できるものばかりではなくなっている今、必要とされるリーダーとは、目指すべき理想に向かっていく中で一人ひとりの個性を認め合い、方向性を統一しながら課題を解決に導いていく協調型リーダーなのです。
 そのためには、自身の考えを押し付けるのではなく、多様な考えを許容できる姿勢をもたねばなりません。そして、課題を形成する要素が複雑に絡み合う中でも解決の道筋を見失わないよう、全体と個別を混同することなく常に同時に見通すことが必要です、さらには、個の力を最大限に発揮させるため、人の個性や可能性を引き出す力を身につけてまいります。
 我々が協調型リーダーとして組織全体の力を底上げし、組織のレジリンスを高めることで、いかなる問題にも多くのアイデアと選択肢をもって立ち向かい解決に導き、このまちの未来を豊かなものにしてまいります。

子ども達が未来を切り拓いていくために

 私が子どものころ、子ども達を我が子のように本気で叱る友達のお父さん、登下校を必ず玄関先で見守るおばあちゃんなど、家族ではなくとも顔と名前を知った人が地域に何人もいました。また、家庭においても年中の節目において祖父母の家に親族や関係者が集まり、皆で団らんするなど、様々な年代の人びとと触れ合いながら育ってきました。その中で年⾧者、年少者と上手に付き合うにはどう振る舞い、どう発言したら良いのか、自然と人との関わり方を学び、また、多くの大人の意見や考え方に触れ、その意見が正しいか間違っているかではなく、大人も人それぞれに意見をもっているのだと子どもながらに感じたことを覚えています。そしてその経験が礎となり、今私は多くの人と良い関係を築きながら、社会生活を送ることができています。
 しかし、今の子ども達はかつてのように多様な人と触れあう機会を失ったことで、気の置けない仲間の中でしか過ごそうとせず、自らの考えが人と違うことを恐れ、自分の意見よりも周りの考えに合わせることだけを優先しているのではないでしょうか。そんな子ども達がこのまま大人になってしまうと、社会生活の中で必要な人と人との協力関係を築けず、課題に直面しても解決できる選択肢が限定され、行き詰まった社会となってしまうのです。
 人とのつながりの大切さを知り、自己を表明できる子ども達へと成⾧していくためには、幅広い年齢層から成る集団での体験を通じ、その中でも自分の役割を見つけ出せる力を身に付けなければなりません。また、自分の意見が他者と違っても良いことを知り、自信をもって相手に伝える力が必要です。
 多様な人と協働し、未来を切り拓く力を持った人財をこのまちに増やすことで、人びとが活き活きと輝けるまちへとつなげてまいります。

青年会議所間の交流を深める

 青年会議所には、多くの仲間が存在しています。彼らとの交流は、自分に無かった視点や、当たり前と思っていたことが当たり前ではないこと知るといった、多くの気づきや学びを我々に与えてくれます。その中でも、これまで交流を続けてきた青年会議所とのつながりは必ず受け継ぎ、今後さらに交流を深めていかなければなりません。
 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により交流に制限がかかり、これまで築いてきたつながりが薄くなりつつある中、それが如何にして始まり、今日まで続いてきたのかを知らない会員も増えています。交流を通じ様々な人とつながりを持つことで得られるものは大きく、その経験を通じて改めてその中で我々の運動の素晴らしさを実感できるはずです。だからこそ、これまで大切にしてきた交流の意義を理解し、連携を深めていくことでつながりをより強固なものとしていく必要があります。
 そして、交流を通じて得た気づきや学びを組織へ還元し活かしていくことで、これからの運動の可能性を拡げてまいります。

むすびに

 我々青年会議所がこのまちに必要とされ続けてきたのは、常にこのまちの未来に対してのビジョンを描き、その実現を目指して問題を明確化し、問題を解決するための課題に真摯に向き合ってきたからです。それは、時代や社会が大きく変化したとしても決して変わってはなりません。青年会議所の運動ひとつひとつには必ず明確な目的が存在しているからこそ、会員一人ひとりがその意義を理解し、自身の成⾧につなげるだけではなく、仲間の見えない努力に敬意を払い、周囲への感謝を忘れず、ともに運動を展開してまいりましょう。そしてその思いをこのまちに示していくことで、必ず我々の運動への賛同が拡がり、それは多くの同志の拡大にもつながっていくのです。
 このまちが人びとにとって「住みよいまち」となるよう、決して歩みを止めることなく全力で取り組んでまいります。。

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