多治見JC

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理事長所信表明

2020年度 
一般社団法人多治見青年会議所 
理事長基本方針

66代理事長
 虎山 宗哲


66代理事長 虎山 宗哲

はじめに

 私たちの国、日本は戦後復興期の「もの」の豊かさを目指した時代から、「ひと」の心の豊かさを考える時代へと移り変わり、過去から現在に至るまで青年たちはその時代の問題に真摯に向き合い、青年としての英知を奮い起こし、ひとづくり、まちづくり運動に邁進してまいりました。そして、今後この国では、延いては私たちが住むこのまちにおいても、少子高齢化の煽りや産業の効率化、先進技術の台頭により、これまで「ひと」が担ってきた社会的役割や意義が、利便性と引き換えに希薄になっていくことが予想され、「ひと」そのものの存在価値を個々が真剣に考えなければならない時代に突入していくのではないかと考えます。そんな前例や答えがない問題をただ傍観するのではなく、我々は今だからこそ「ひと」が存在しなくても成り立つ社会が日常となる前に、問題を追及するだけではなく、あらゆるものに価値を見出すことができる価値創造型のリーダーとして、ひとづくり、まちづくり運動に邁進しなければなりません。
 我々は過去から積み上げてきた価値観には無い、新たな価値観を受け入れることが必要であり、愛するこのまちにおいても、まちの現在をただ知るだけではなく、市民として誇ることができる新たな価値を見出し自ら発信することで、さらなるまちの発展を目指してまいります。我々は時代の流れに身を委ねるだけではなく、10年、20年先を見据えた未来のために、このまちに新たな風を吹き込むことこそが、我々に課せられたJAYCEEとしての使命であり、連綿と続く青年会議所運動の根幹となるのです。創立65周年を迎える今こそ、既存の観念に捉われない新たな価値の創造を目指し、明日のまちに向けて共に邁進してまいりましょう。

価値創造型のリーダーとして

 刻々と変わり続ける環境のなかにいる我々は、これからの未来を歩むために今現在、何が求められているのでしょうか。IoTやAIといったデジタル化がビジネスを一風させる社会展望において、我々は自らの仕事や能力といった「ひと」として従来評価されてきた価値が問われるなか、これまで以上に自らの可能性を広げることで、「ひと」としての新たな存在価値を確立していかねばなりません。しかし、我々は物事を思考する上で固定観念に捉われてしまい、自らの可能性を狭めてしまうことで、生み出される価値も限定的なものとしてはいないでしょうか。過去の成功事例や経験を常識として踏襲することに固執するのではなく、これまでの慣習や手法に捉われない思考を持つことで、何事に対しても新たな価値を求めて邁進していく必要があります。
 生み出される価値をより多く創出するためにも、物事に対する自らの思考を収めた枠組みを客観的な視点で認識することで、固定観念を打破していかねばなりません。そして、その価値を具現化するために、戦略的ビジョンを描き行動につなげることで、潜在的な可能性を発掘してまいります。
 常に未来を見据え、新たな価値を創造し続けるリーダーとして率先してこのまちに変化を促し、仲間からも市民からも憧れられる存在となることで、このまちに我々の運動を広く伝播してまいります。

まちに新たな風を

 現在の日本では地方創生が叫ばれ、行政をはじめ各種団体においても地域活性化策として、まちのブランディングを講じ、その魅力を知ってもらうために様々な工夫を凝らしたプロモーションが展開されています。このまちにおいても長い歴史のなかで培われ、人びとに受け継がれてきた陶磁器をはじめとした地域ブランドを構成する要素が多く存在しています。しかし、地域ブランドの潜在力は非常に高いにもかかわらず、我々市民は地域ブランドを明確に理解しているとは言い難く、その要素も有効に活用できていないと感じます。地域ブランドを単に知るだけに留めるのではなく、誇ることができる地域ブランドを市民や企業が自ら創造し力強く発信することで、さらなる飛躍ができるのではないでしょうか。我々はまちの発展を望む市民として、そして地域ブランドを活用する青年経済人として、まちに貢献できるきっかけを創出していかねばなりません。
 まちのブランディングは効果を追求することや数値化できるもの、目新しさだけを強く発信することを重視するのではなく、まずはそのものの本質を理解することが大切ではないでしょうか。何故このまちにおいて地域ブランドとして根付くことができたのか、そう成り得た本質を知ることが必要です。その本質にこそブランディングの要があります。そして、その地域ブランドを持続可能なものとするためにも、市民一人ひとりがまちへの貢献意識をもち、積極的にこのまちを想うシビックプライドを醸成することで、志を同じくする仲間との協働を通して、明るい豊かな社会の実現を目指してまいります。
 我々が変革の能動者として市民とまちの懸け橋となり、未来のまちの利益となる新たな地域ブランド創出のプラットフォームを築くことで、新たな価値がひとを魅了し、国内外からのビジターの創出にもつなげることができます。そうすることで、このまちに確固たるアイデンティティが確立され、50年、100年と持続できるまちへと変わっていくと確信します。

運動の芽を育てる

 我々は日本青年会議所東海地区協議会の運動発信の場である、東海フォーラム2020開催を全力で応援してまいります。この東海フォーラムは、青年会議所運動の発信の場であり、まちづくりを加速させる最大のきっかけとなります。志を同じくする仲間との交流を通して会員意識の高揚、さらには地域を活性化させることができます。東海地区内から集まった会員に地域の魅力を五感で体感していただき、東海フォーラムでの学びを各地会員会議所での運動に活かしていただくことで、それぞれの地域の未来を創造していくことにつながると考えます。
 また、多治見青年会議所は65年に亘り多くの運動を展開してまいりました。現在でも青年会議所を巣立っていった運動の成果は数多くこのまちに残っています。どのように事業が構築され展開していったのか、単年度の事業なのか、継続的な事業であったのかを知るためにも、歴史を知ることが必要です。多治見というまちを創ることにおいて、まずは我々の運動がまちをどう感化させてきたのかを知り、そして次なる種を撒く未来を見据えて、我々の目指すべき方向を示さなければなりません。我々はそれをビジョンとして掲げ、実直に邁進することで、このまちに運動の芽を数多く育んでまいります。

むすびに

 本年、多治見青年会議所は韓国済州南元青年会議所との姉妹締結20周年を迎えます。我々はこの永き時間を通じて、青年会議所運動に大きな意義を果たす友情を培ってまいりました。この揺るぎない友情は、如何なる国際情勢においても翻弄されないものであり続けなければなりません。この友情がたとえ小さな芽だとしても、国と国とのつながりに大きな変化をもたらす道だと信じ、民間外交の先駆者として国境を超えた仲間と共に手と手を取り合い、さらなる融和を育んでまいります。
 我々を取り巻く環境は多くの可能性を秘めています。しかし、その環境にはひとが恒久的に生みだしてきた問題も存在しています。問題はひとが生み出した以上、決して我々の範疇を超えるものはなく、たとえどんなに時間がかかったとしても必ず解決できるのです。だからこそ我々は40歳までという限られた時間のなかで、一つひとつの問題を解決するために時間を費やすのではなく、一つの問題からより多くの価値を創造することが、持続可能な社会の実現へとつながるのです。そして、個の力による価値も組織が巖となることで何倍にも膨らますことができ、まちの可能性を最大限に引き出してまいります。そんな青年が結束した青年会議所こそが、このまちにとって大いなる価値に成り得ると確信します。未来は我々青年が創る。仲間と共に夢と希望をもって邁進してまいります。

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